この記事を書いた人
丸山 拓人
LifeDesign Office 代表/FP2級技能士・証券外務員一種
得意分野:資産形成・資産運用/経営者の退職金・老後資金対策/個人・法人の保障設計
変化の大きい時代だからこそ、お金に確かな見通しを。 不安を減らし、次の一歩を踏み出せるように。
この記事について
年末が近づくと「NISAの枠を使い切れていない」と気になる方もいるかもしれません。年間投資枠は上限であり、目標額ではありません。枠の仕組み、売却時の扱い、税制上の性質、年末に確認したいポイントを整理します。
年末が近づくと、NISAを利用している方から「今年の枠をまだ使い切れていないけれど、大丈夫でしょうか」というご質問をいただくことがあります。SNSなどで「枠を埋める」といった言葉を目にして、気になっている方もいるかもしれません。
結論を急ぐ前に、まずは制度の仕組みを整理しておくことが大切です。NISAの年間投資枠は上限であり、使い切ること自体が目的ではありません。年末は「枠をどれだけ使えたか」よりも、「今の積立設定が自分の目的や家計に合っているか」を落ち着いて振り返るよい機会です。
本記事では、2026年10月時点の制度にもとづき、NISAの枠の仕組み、売却したときの枠の扱い、知っておきたい税制上の性質、そして年末にご自身で確認できるポイントを順に整理します。
2024年から始まったNISAには、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの枠があり、併用できます。対象は、利用する年の1月1日時点で18歳以上の方です。
| 項目 | つみたて投資枠 | 成長投資枠 |
|---|---|---|
| 年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
| 年間投資枠(併用時の合計) | 360万円 | ← |
| 非課税保有限度額(生涯) | 合計1,800万円 | うち成長投資枠は1,200万円まで |
| 非課税保有期間 | 無期限 | 無期限 |
※2026年10月時点(金融庁NISA特設ウェブサイト)。制度は改正される可能性があります。
混同されやすいのが、「年間投資枠」と「非課税保有限度額」です。
年間360万円という数字は、あくまで制度上の上限額です。この額まで投資すべきという意味ではありません。
非課税保有限度額1,800万円のうち、成長投資枠で使えるのは1,200万円までです。また、成長投資枠で購入できる商品には一定の要件があります。
2024年からのNISAでは、非課税保有期間が無期限になりました。旧制度では、つみたてNISAが20年間、一般NISAが5年間と期間が定められていたため(金融庁NISA特設ウェブサイト)、旧制度の情報と混同しないよう注意が必要です。
また、2024年から始まったNISA制度は恒久化されており、口座開設期間の期限はありません。ただし、恒久化は制度が今後変わらないという意味ではない点にも留意しておきましょう。
年末によく聞かれるのがこの疑問です。ここでは、判断の土台になる考え方を整理します。
NISAの年間投資枠は、その年に投資できる金額の上限です。使い切ることが制度の前提になっているわけではなく、枠を使い切れなかったことで制度上の罰則のようなものが生じる仕組みでもありません。
なお、その年に使わなかった枠が翌年以降どう扱われるかについては、本記事では断定的な説明を控えます。気になる方は、金融庁NISA特設ウェブサイトなどの一次情報や、利用中の金融機関の案内でご確認ください。
投資に回す金額は、枠の残りから逆算するのではなく、家計全体から考えるという視点があります。たとえば、次のような点を先に確認しておくと、判断がぶれにくくなります。
投資には価格変動リスクがあり、元本を下回る可能性があります。近いうちに使う予定のお金を値動きのある商品に回すと、使いたい時期に価格が下がっている可能性もあります。枠の残りが気になるときほど、「このお金はいつ、何のために使うのか」を整理しておくことが、落ち着いた判断につながります。
NISA口座内の商品を売却すると、売却した商品の簿価(取得金額)の分だけ、非課税投資枠が翌年以降に復活し、再利用できます(金融庁NISA特設ウェブサイト、2026年10月時点)。
ここで押さえておきたいポイントは次の2点です。
たとえば年末に売却を検討する場合、「売ればすぐに枠が戻って買い直せる」と考えていると、想定と異なる結果になることがあります。売却の判断は、枠の扱いだけでなく、そのお金を使う目的や時期とあわせて考えることが大切です。
NISA口座で投資した金融商品から得られる利益(配当等・譲渡益)は非課税になります(金融庁NISA特設ウェブサイト)。
ただし、非課税は「利益が出た場合」の税金の扱いです。元本や運用成果が保証されるわけではありません。投資には価格変動リスクがあり、元本を下回る可能性があります。
NISA口座内の上場株式等を売却して生じた損失は、特定口座や一般口座の配当等・譲渡益と損益通算できず、繰越控除もできません(国税庁タックスアンサーNo.1535、令和8年4月1日現在法令等)。
特定口座などでの取引もある方は、年末に「損益を整理しよう」と考える際、NISA口座の損失は他の口座と合算できない点を前提にしておく必要があります。個別の税務判断については、税理士や税務署にご確認ください。
ここからは、ご自身で確認できるポイントを整理します。すべてを一度に見直す必要はありません。気になるところから確認してみてください。
年末の振り返りは、次のような問いを書き出してみるだけでも整理しやすくなります。
ご家族で資産形成を考えている方にとって、知っておきたい変更があります。2027年1月開始予定の制度で、まだ始まっていない点にご注意ください(2026年10月時点、金融庁NISA特設ウェブサイト)。
原則として払い出せない期間があることや、金融機関を変更できない予定であることは、利用を考えるうえで大切な前提です。教育資金など「いつ使うお金か」を家族で話し合う材料として、今の段階で仕組みを知っておくとよいかもしれません。払出しの要件などの詳細は、今後の金融庁や金融機関の案内をご確認ください。
年末は「枠をどれだけ使えたか」で一年を評価する時期ではなく、来年も無理なく続けられる形になっているかを確かめる時期と捉えると、気持ちにも余裕が生まれます。
ご注意
ライフデザインオフィスでは、特定の金融商品の販売を行わない独立系FP事務所として、家計全体の資金計画を整理するご相談をお受けしています。NISAの積立額が今の家計や目的に合っているか、第三者の視点で一緒に確認してみたいときは、ご都合のよいタイミングでお問い合わせください。
この記事を書いた人
LifeDesign Office 代表/FP2級技能士・証券外務員一種
得意分野:資産形成・資産運用/経営者の退職金・老後資金対策/個人・法人の保障設計
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