この記事を書いた人
丸山 拓人
LifeDesign Office 代表/FP2級技能士・証券外務員一種
得意分野:資産形成・資産運用/経営者の退職金・老後資金対策/個人・法人の保障設計
変化の大きい時代だからこそ、お金に確かな見通しを。 不安を減らし、次の一歩を踏み出せるように。
この記事について
年末調整の保険料控除申告書は、控除証明書の「新・旧の区分」「保険の種類」「支払保険料の金額」を順に確かめれば落ち着いて書けます。控除額の上限や新旧が混在する場合の考え方、令和8年分の特例も整理しました。
年末調整の時期になると、勤務先から「保険料控除申告書」が配られ、保険会社からは「控除証明書」が届きます。いざ書こうとすると、「証明書のどの数字を写せばいいのか」「新・旧とは何か」と手が止まる方は少なくありません。
保険料控除申告書は、控除証明書の次の3点を順に確かめていけば、落ち着いて書き進められます。
あわせて、令和8年分は23歳未満の扶養親族がいる場合に一般生命保険料控除(新契約)の上限が引き上げられる特例があります。毎年同じ書き方でよいか、一度確かめておくと安心です。
本記事は、令和8年分(2026年分)の年末調整についての一般的な情報提供です。税制は改正される可能性があります。また、文中の控除額はすべて所得税の金額です。住民税の控除額は異なります。
保険料控除申告書で扱う主な控除は、次の2つです。
なお、ここでいう「控除額」は、所得から差し引く金額のことです。控除額がそのまま税金として戻ってくるわけではありません。実際に軽くなる税額は、ご本人の所得や税率によって異なります。
生命保険料控除は、契約を結んだ時期によって「新契約」と「旧契約」に分かれ、計算方法が異なります。
| 区分 | 契約を締結した時期 |
|---|---|
| 新契約(新制度) | 平成24年(2012年)1月1日以後 |
| 旧契約(旧制度) | 平成23年(2011年)12月31日以前 |
ここで注意したいのは、契約後に更新や特約の中途付加などをすると、区分が変わる場合があるという点です。「この保険は昔から入っているから旧契約のはず」と記憶で判断せず、控除証明書に記載されている「新・旧」の表示で確認するのが確実な方法です。
また、旧契約には「介護医療保険料」の区分はありません。介護医療保険料の区分は新契約にのみあります。
控除証明書には、その保険が「一般」「介護医療」「個人年金」のどの区分にあたるかが記載されています。申告書の欄もこの区分ごとに分かれているため、証明書の表示に合わせて該当する欄に書き写します。
複数の保険に加入している場合は、証明書を区分ごと・新旧ごとに分けて並べてから書き始めると、転記の取り違えを防ぎやすくなります。
証明書によっては、複数の金額が記載されていることがあります。どの金額を申告書に写すかは、証明書の説明書きや、国税庁の申告書記載例、勤務先からの案内で確認してください。
区分ごとの所得税の控除額の上限は、次のとおりです。
| 区分 | 新契約 | 旧契約 |
|---|---|---|
| 一般生命保険料 | 最高4万円(年間の支払保険料等が8万円を超える場合は一律4万円) | 最高5万円(年間の支払保険料等が10万円を超える場合は一律5万円) |
| 介護医療保険料 | 最高4万円(同上) | 区分なし |
| 個人年金保険料 | 最高4万円(同上) | 最高5万円(同上) |
そして、一般・介護医療・個人年金の各控除額の合計が12万円を超える場合は、生命保険料控除額は12万円となります。
支払保険料がこれらの金額以下の場合の控除額は、申告書に印字されている計算式に沿って求めます。新契約と旧契約では計算式が異なるため、証明書の「新・旧」を確かめてから該当する計算欄を使うことが大切です。
一般生命保険料で、新契約と旧契約の両方に加入している方は、計算の仕方が少し変わります。判定の目安は「旧契約の年間支払保険料が6万円を超えるかどうか」です。
| 旧契約の年間支払保険料 | 計算の考え方 | 控除額の最高 |
|---|---|---|
| 6万円を超える | 旧契約のみで計算できる | 5万円 |
| 6万円以下 | 新契約・旧契約それぞれの控除額を合計して計算する | 4万円 |
個人年金保険料で新旧両方がある場合も、同様の考え方です。
なお、次に説明する23歳未満の扶養親族がいる場合の特例が関係する方は、新旧両方があるときの扱いを、国税庁の令和8年分申告書の記載例で確認してください。
令和8年分以降、23歳未満の扶養親族がいる方が新契約の一般生命保険料を支払った場合、一般生命保険料控除の控除額は最高6万円となります(新契約の一般生命保険料が12万円を超える場合は一律6万円)。
誤解しやすい点を整理しておきます。
令和8年分の年末調整から適用される特例です。期間限定の措置のため、翌年以降は最新の制度をご確認ください。
この特例は令和8年度税制改正で適用期限が1年延長され、令和8年分・令和9年分の所得税に適用されます。
昨年までと同じ感覚で書くと、この特例を見落とすことがあります。23歳未満の扶養親族がいる方は、申告書の該当欄を一度確かめておくとよいでしょう。
地震保険料控除は、「地震保険料」と、経過措置の対象となる「旧長期損害保険料」の2つに分かれます。
| 区分 | 所得税の控除額 |
|---|---|
| 地震保険料 | 年間の支払保険料が5万円以下なら全額、5万円を超える場合は一律5万円 |
| 旧長期損害保険料 | 最高1万5千円(年間保険料が2万円を超える場合) |
| 両方ある場合 | それぞれ計算した金額の合計で最高5万円 |
旧長期損害保険料の対象となるのは、次の条件をすべて満たす契約です。
1つの契約が地震保険料・旧長期損害保険料の両方に当てはまる場合は、どちらか一方を選ぶ扱いがあります。条件に当てはまるかどうかは、証明書の記載で確認してください。
生命保険料控除・地震保険料控除を受けるときは、通常、控除証明書を申告書に添付して提出します。書面で提出するか電子で提出するかは、勤務先の案内に従ってください。
なお、旧契約で年間の保険料が9,000円以下のもので年末調整の際に控除を受けたものは、確定申告で証明書類を添付する必要はないとされています。ただし、こうした例外にあたる場面は限られていますので、基本は「証明書を添付する」と考えておくとよいでしょう。
書き終えたら、次の点を見直してみてください。
毎年の申告は、ご自身が加入している保険の種類や契約時期を把握し直す機会にもなります。控除のために保険を増やす・変えるという発想ではなく、「この保障は今の暮らしや家族構成に合っているか」を考える材料として、証明書を眺めてみるのもひとつの方法です。
(制度の内容は令和8年4月1日現在の法令等にもとづき、2026年10月に確認しています。)
申告書の具体的な書き方は、勤務先の担当部署や国税庁の記載例でご確認ください。一方で、「証明書を並べてみたら、加入している保険の役割がよくわからなくなった」という場合は、家計全体の中で保障をどう位置づけるかを整理するお手伝いができます。ライフデザインオフィスは独立系のFP事務所として、特定の商品にとらわれない立場でご相談を承っています。必要を感じたときに、お気軽にお問い合わせください。
この記事を書いた人
LifeDesign Office 代表/FP2級技能士・証券外務員一種
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