年末調整の保険料控除、証明書のどこを見る?新旧区分・種類・金額の順に整理

丸山 拓人公開日 2026.10.10約10分で読めます

この記事について

年末調整の保険料控除申告書は、控除証明書の「新・旧の区分」「保険の種類」「支払保険料の金額」を順に確かめれば落ち着いて書けます。控除額の上限や新旧が混在する場合の考え方、令和8年分の特例も整理しました。

はじめに:証明書と申告書、どこを見比べればいい?

年末調整の時期になると、勤務先から「保険料控除申告書」が配られ、保険会社からは「控除証明書」が届きます。いざ書こうとすると、「証明書のどの数字を写せばいいのか」「新・旧とは何か」と手が止まる方は少なくありません。

保険料控除申告書は、控除証明書の次の3点を順に確かめていけば、落ち着いて書き進められます。

  1. 「新制度・旧制度」の区分
  2. 保険の種類(一般/介護医療/個人年金)
  3. 申告書に書き写す支払保険料の金額

あわせて、令和8年分は23歳未満の扶養親族がいる場合に一般生命保険料控除(新契約)の上限が引き上げられる特例があります。毎年同じ書き方でよいか、一度確かめておくと安心です。

本記事は、令和8年分(2026年分)の年末調整についての一般的な情報提供です。税制は改正される可能性があります。また、文中の控除額はすべて所得税の金額です。住民税の控除額は異なります。

保険料控除申告書で扱う控除の全体像

保険料控除申告書で扱う主な控除は、次の2つです。

  • 生命保険料控除:次の3つの区分に分かれます
  • 一般生命保険料
  • 介護医療保険料
  • 個人年金保険料
  • 地震保険料控除:地震保険料と、条件を満たす旧長期損害保険料

なお、ここでいう「控除額」は、所得から差し引く金額のことです。控除額がそのまま税金として戻ってくるわけではありません。実際に軽くなる税額は、ご本人の所得や税率によって異なります。

証明書で最初に見るところ①:「新制度・旧制度」の区分

生命保険料控除は、契約を結んだ時期によって「新契約」と「旧契約」に分かれ、計算方法が異なります。

区分契約を締結した時期
新契約(新制度)平成24年(2012年)1月1日以後
旧契約(旧制度)平成23年(2011年)12月31日以前

ここで注意したいのは、契約後に更新や特約の中途付加などをすると、区分が変わる場合があるという点です。「この保険は昔から入っているから旧契約のはず」と記憶で判断せず、控除証明書に記載されている「新・旧」の表示で確認するのが確実な方法です。

また、旧契約には「介護医療保険料」の区分はありません。介護医療保険料の区分は新契約にのみあります。

証明書で見るところ②:保険の種類と支払保険料の金額

保険の種類を確かめる

控除証明書には、その保険が「一般」「介護医療」「個人年金」のどの区分にあたるかが記載されています。申告書の欄もこの区分ごとに分かれているため、証明書の表示に合わせて該当する欄に書き写します。

複数の保険に加入している場合は、証明書を区分ごと・新旧ごとに分けて並べてから書き始めると、転記の取り違えを防ぎやすくなります。

書き写す金額を確かめる

証明書によっては、複数の金額が記載されていることがあります。どの金額を申告書に写すかは、証明書の説明書きや、国税庁の申告書記載例、勤務先からの案内で確認してください。

新契約と旧契約の計算の違いと控除額の上限

区分ごとの所得税の控除額の上限は、次のとおりです。

区分新契約旧契約
一般生命保険料最高4万円(年間の支払保険料等が8万円を超える場合は一律4万円)最高5万円(年間の支払保険料等が10万円を超える場合は一律5万円)
介護医療保険料最高4万円(同上)区分なし
個人年金保険料最高4万円(同上)最高5万円(同上)

そして、一般・介護医療・個人年金の各控除額の合計が12万円を超える場合は、生命保険料控除額は12万円となります。

支払保険料がこれらの金額以下の場合の控除額は、申告書に印字されている計算式に沿って求めます。新契約と旧契約では計算式が異なるため、証明書の「新・旧」を確かめてから該当する計算欄を使うことが大切です。

一般生命保険料で新契約・旧契約の両方がある場合

一般生命保険料で、新契約と旧契約の両方に加入している方は、計算の仕方が少し変わります。判定の目安は「旧契約の年間支払保険料が6万円を超えるかどうか」です。

旧契約の年間支払保険料計算の考え方控除額の最高
6万円を超える旧契約のみで計算できる5万円
6万円以下新契約・旧契約それぞれの控除額を合計して計算する4万円

個人年金保険料で新旧両方がある場合も、同様の考え方です。

なお、次に説明する23歳未満の扶養親族がいる場合の特例が関係する方は、新旧両方があるときの扱いを、国税庁の令和8年分申告書の記載例で確認してください。

令和8年分の変更点:23歳未満の扶養親族がいる場合の特例

令和8年分以降、23歳未満の扶養親族がいる方が新契約の一般生命保険料を支払った場合、一般生命保険料控除の控除額は最高6万円となります(新契約の一般生命保険料が12万円を超える場合は一律6万円)。

誤解しやすい点を整理しておきます。

  • 対象は新契約の一般生命保険料のみです。介護医療保険料・個人年金保険料の上限(最高4万円)は変わりません。
  • 生命保険料控除全体の合計の上限12万円は変わりません。
  • 「最高6万円」は所得から差し引く控除額の上限であり、税金が6万円戻るという意味ではありません。
  • 扶養親族の年齢をいつの時点で判定するかなど、記入方法の細部は、国税庁の令和8年分申告書の記載例や勤務先の案内で確認してください。

令和8年分の年末調整から適用される特例です。期間限定の措置のため、翌年以降は最新の制度をご確認ください。

この特例は令和8年度税制改正で適用期限が1年延長され、令和8年分・令和9年分の所得税に適用されます。

昨年までと同じ感覚で書くと、この特例を見落とすことがあります。23歳未満の扶養親族がいる方は、申告書の該当欄を一度確かめておくとよいでしょう。

地震保険料控除の書き方

地震保険料控除は、「地震保険料」と、経過措置の対象となる「旧長期損害保険料」の2つに分かれます。

区分所得税の控除額
地震保険料年間の支払保険料が5万円以下なら全額、5万円を超える場合は一律5万円
旧長期損害保険料最高1万5千円(年間保険料が2万円を超える場合)
両方ある場合それぞれ計算した金額の合計で最高5万円

旧長期損害保険料の対象となるのは、次の条件をすべて満たす契約です。

  • 平成18年12月31日までに締結した契約
  • 満期返戻金のある、保険期間10年以上の契約
  • 平成19年1月1日以後に契約の変更をしていないもの

1つの契約が地震保険料・旧長期損害保険料の両方に当てはまる場合は、どちらか一方を選ぶ扱いがあります。条件に当てはまるかどうかは、証明書の記載で確認してください。

証明書の添付と、迷ったときの確認先

証明書の添付

生命保険料控除・地震保険料控除を受けるときは、通常、控除証明書を申告書に添付して提出します。書面で提出するか電子で提出するかは、勤務先の案内に従ってください。

なお、旧契約で年間の保険料が9,000円以下のもので年末調整の際に控除を受けたものは、確定申告で証明書類を添付する必要はないとされています。ただし、こうした例外にあたる場面は限られていますので、基本は「証明書を添付する」と考えておくとよいでしょう。

迷ったときの確認先

  • 勤務先の担当部署:提出方法や締切、社内での記入ルール
  • 国税庁の申告書記載例:令和8年分の様式に沿った具体的な記入方法
  • 税務署・税理士:ご自身の状況に応じた個別の判断が必要なとき

ご自身で確認できるチェックポイント

書き終えたら、次の点を見直してみてください。

  • 証明書ごとに「新・旧」の区分を、記憶ではなく証明書の表示で確認したか
  • 「一般/介護医療/個人年金」の区分と、申告書の記入欄が一致しているか
  • 書き写した金額が、証明書の正しい欄の金額か
  • 一般生命保険料(または個人年金保険料)で新旧両方がある場合、旧契約の年間支払保険料が6万円を超えるかどうかを確かめたか
  • 23歳未満の扶養親族がいる場合、令和8年分の特例の欄を確認したか
  • 生命保険料控除の合計が12万円を超えていないか
  • 地震保険料と旧長期損害保険料の両方がある場合、合計が5万円を超えていないか
  • 控除証明書がすべて手元にそろっているか

まとめ

  • 保険料控除申告書は、控除証明書の「新・旧の区分」「保険の種類」「支払保険料の金額」の3点を順に確かめれば、迷わずに書き進められます。
  • 新契約は各区分最高4万円、旧契約は最高5万円、生命保険料控除全体の上限は12万円です(いずれも所得税)。
  • 令和8年分は、23歳未満の扶養親族がいる場合に新契約の一般生命保険料控除の上限が最高6万円になる特例があります。合計の上限12万円は変わりません。
  • 地震保険料控除は最高5万円、条件を満たす旧長期損害保険料は最高1万5千円、両方ある場合の合計上限は5万円です。

毎年の申告は、ご自身が加入している保険の種類や契約時期を把握し直す機会にもなります。控除のために保険を増やす・変えるという発想ではなく、「この保障は今の暮らしや家族構成に合っているか」を考える材料として、証明書を眺めてみるのもひとつの方法です。

参考資料

  • 国税庁 タックスアンサー No.1140「生命保険料控除」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1140.htm
  • 国税庁 タックスアンサー No.1145「地震保険料控除」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1145.htm
  • 財務省「令和8年度税制改正の大綱」 https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2026/08taikou_01.htm

(制度の内容は令和8年4月1日現在の法令等にもとづき、2026年10月に確認しています。)


  • 本記事は、令和8年分(2026年分)の年末調整についての一般的な情報提供です。税制は改正される可能性があります。
  • 控除額は所得税の金額です。住民税の控除額は異なります。
  • 記入方法の詳細は、国税庁の申告書記載例と勤務先からの案内をご確認ください。個別のケースは勤務先の担当部署、税務署、税理士にご確認ください。
  • ライフデザインオフィスは独立系のFP事務所として情報を提供しており、特定の保険商品の販売・勧誘を目的としたものではありません。

申告書の具体的な書き方は、勤務先の担当部署や国税庁の記載例でご確認ください。一方で、「証明書を並べてみたら、加入している保険の役割がよくわからなくなった」という場合は、家計全体の中で保障をどう位置づけるかを整理するお手伝いができます。ライフデザインオフィスは独立系のFP事務所として、特定の商品にとらわれない立場でご相談を承っています。必要を感じたときに、お気軽にお問い合わせください。

出典

本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、特定の金融商品・保険商品の勧誘や推奨を目的とするものではありません。税制・社会保障などの制度は改正されることがあります。実際の判断にあたっては、公的機関の最新情報をご確認いただくか、専門家にご相談ください。
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この記事を書いた人

丸山 拓人

LifeDesign Office 代表/FP2級技能士・証券外務員一種

得意分野:資産形成・資産運用/経営者の退職金・老後資金対策/個人・法人の保障設計

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